2006年4月1日土曜日

トヨタが2012年までにハイブリッド車を全クラスに

 今朝(4月1日)の日経新聞第1面に、トヨタ自動車が2012年までに、高級車から小型車までの全クラスにハイブリッド車を導入するという記事が載っていました。確かに、ハイブリッド車は環境への配慮という点では非常に優れた性能をもっています。また、アイドリング時や低速走行時の電気モーター音が非常に低く騒音も少なくてすむというので、近年注目を集めています。


 ただ、よいことばかりではありません。アイドリング時や低速時の音が低いということは、音を手がかりに移動する視覚障がい者、盲ろう者にとっては車の接近に気づきにくく、接触事故に巻き込まれる可能性も秘めています。また、聴覚障がい者、高齢者にとっても背後から接近する場合は低音や振動も少ないためわかりにくく、新たなバリアになるかもしれません。


 実際、東大先端研勤務時代に、全盲の同僚が歩いているところに、某社のハイブリッド車がバックで発進しようとして接触しかかったのを目にしたことがあります。同僚はガイドヘルプと一緒に歩いていましたが、車がライトを点灯してすぐにバックしようとしたため、ガイドヘルプも気づきませんでした。私は10メートルくらい離れたところに立っていましたが、同じく車がアイドリングしていることに気づかず、「あっ」という間の出来事に冷や汗をかいたことがあります。


 同じようなこと(実際の事故を含めて)が起こりうる危険性を、当時の上司である中野泰志特任教授が指摘し研究を行っています(詳細は、東大先端研バリアフリープロジェクトのホームページを参照してください)。


 欧米は別として、日本では細い路地の中を人と車が入り交じって往来しているので、事故の危険性は欧米に比べると高いといえます。もっとも、ハイブリッド車そのものは先に述べたように環境への配慮という面では非常に優れていますから、今後障がいへの配慮としてアイドリング時と発進時のアピール等を調整をしていくことで、全ての人にとってすばらしいツールに改良してもらいたいと思います。

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