2013年1月18日金曜日

公開シンポジウム2012年12月26日第2部の見聞録


第2部「在宅生活や学校教育の現状をお聞きし、地域での生活について考えてみませんか?」
パネリスト


  • 中田 香穂里 氏(22歳)・美智子 氏(在宅障害者本人・ご家族)
  • 樫木 暢子 氏(愛媛大学教育学部 講師・元特別支援学校教員・全国訪問教育研究会事務局)
  • 下川 和洋 氏(NPO法人 地域ケアサポート研究所理事)

見聞録

愛媛大学教育学部・樫木講師から、全国また愛媛において医療的ケアや訪問教育がどのように行われているかという情報を共有し、今後について考えていきたいという提案がなされた。それに加え、訪問教育の現状や課題について、愛媛県を中心に、また全国の状況についての情報提供及び医療的ケアの実施の状況について説明があった。その中で、愛媛県は訪問教育を受けている児童生徒が多い方であるが、訪問教育が設置されているのは知的障害特別支援学校3校であり、病弱・肢体不自由特別支援学校には設置されておらず、全国的にも珍しいということ、また、地域性から肢体不自由児特別支援学級の設置が多いという現状報告があった。その後、卒業生ご自身、保護者さんから訪問教育当時のことと卒業後の生活についての話があり、医療的ケアについての実際が語られ、下川先生、樫木先生より、医療的ケア及び卒業後のサポートについての全国的な状況及び医療的ケアを巡る取組の紹介がなされた。24年4月から一定の研修を受けることで医療的ケアをすることが可能になり、首都圏の方では取組も実践も進んでいるという一方で、四国四県を含むいくつかの都道府県では実施に向けての取組が遅れているということであった。介護に関しての考え方は様々であるが、子どもと密接に関わっている人であるほど、その人のニーズに合ったケアができ、それこそが専門性と言えるのではないか、また、身近に医療的ケアの実施が可能な人が増えることで、生活の幅を広げていくことができるのではないかという提言がなされた。
 教育の現場にいても、「訪問教育」の実態について知る機会がほとんどなかったので、よい勉強になりました。特に、保護者の方の発表の「はやくスイッチが使えるようになって、言葉がつむげるようになりたい。」という言葉が印象に残りました。ふるさと交流で、しげのぶ特別支援学校の生徒さんと一緒に活動をしたことがありますが、コミュニケーションエイドを使えるようになると、さらに交流の輪も広がっていくと思いました。さらに、ふるさと交流のような機会を増やし、活動内容を充実させていくことで、地域の学校に通う生徒や保護者の啓発や理解につながっていくのではないかと感じました。
(報告者:朝田 葉子)

公開シンポジウム2012年12月26日第1部の概要


第1部「経験豊かなシンポジストから医療、療育での活動をお聞きし、地域生活支援について  考えてみませんか?」の概要

パネリスト

  • 宮本 希巳江 氏(総合リハビリテーション伊予病院 理学療法士)
  • 安藤 有紀 氏(松山市児童発達支援センターひまわり園)
  • 下川 和洋 氏(NPO法人・地域ケアさぽーと研究所理事)

パネリストの話題提供

 総合リハビリテーション伊予病院では、重症心身障害児のサービスとして、就学前は11時間程度、就学後は週に1回程度の個別訓練を行っている。また、地域の支援会議に参加したり、通っている学校に直接出向き、器具や装置の調整を行ったりしている。そのほかにも、小児科のドクターが地域に出向いて、療育相談を受けている。利用者の中には、他の施設(子ども療育センターなど)と併用している人もいるので、担当医が連絡を取るなどして、横のつながりを大切にしている。
 児童発達支援センターひまわり園では、毎日、就学前の子どもが保護者のもとを離れて通ってくる。また、親子通園施設ひだまりクラブ(重症心身障害児事業B型)も併設されており、15名程度が利用している。園では、個別の支援計画に加えて、援助計画を作成しており、保護者のニーズに基づいてできる範囲のサービスを行っている。個人を重視し、多方面からの総合的チームアプローチの体制がとりやすくなっている。来年度からは、相談支援(福祉サービスやリハビリの情報、家庭生活の支援)の事業を再開する予定である。加えて、ドクターや訪問看護との情報を共有して、地域での子どもの支援や教育が途切れない仕組みが重要であり、就学前から子どもの教育や先の姿を学校の先生たちと考えていける仕組みづくりもやっていきたいと考えている。
NPO法人の下川和洋さんは、障害のある子どもを生涯にわたって支援していくためには、サービスが途切れないようにしなければならないと訴えている。しかし、それをコーディネートする人いないのが現状である。
 さまざまな機関で重症心身障害児の支援体制が整いつつあるが、利用者側にとってとても複雑で分かりにくいように思う。重症心身障害児が一生涯を通して地域社会で生活をしていけるためにも、適切な支援を受けられる組織間の連携及びコーディネートが必要である。
(報告者:畠山 歩)

遅ればせながら

皆様,新年明けましておめでとうございます。

昨年は皆様より多大なるご支援を賜り,誠にありがとうございました。
昨年,研究や活動の軸足を,重症心身障害児にシフトしようと決め,年末になって形になり始めたかなと感じています。
今年は,更に新たなプロジェクトやイベントを起ち上げ,スピード感を持って推進していきたいと考えています。

今年が皆様にとって幸多い一年となりますことをお祈りするとともに,本年もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。