2010年3月31日水曜日

教科書の利用について

毎年,この時期になると,大学でも新学期に向けて教科書を指定し,学生に購入を促します。
ちょうどタイミング良く,教科書の扱いについて,今朝の日経新聞に以下のような記事(一部を抜粋)が載っていました。
教科書が厚くなった要因には、繰り返し学習や発展的学習の重視に加え、新指導要領が「○○は扱わない」などと学習内容を細かく制限していた“歯止め規定”を廃止したこともある。
 このため文部科学省は「指導要領を守ることと、教科書の内容を全部教えることは別の話。実態に合わせ中身を取捨選択してほしい」と話す。だが、学校からは「授業で全内容に触れないと、必ず保護者から苦情が出る。教員が板挟みになる」(東京都内の公立小学校長)と不安の声も出る。
 欧米の教科書は関心を持った子供が自習できるよう内容が盛りだくさんだが、すべてを教室で教えてはいない。「教科書を教えるのではなく、教科書で教える」といわれるが、機械的に教えるだけの教員や、記載内容をすべて教えてもらわないと気が済まない保護者は、早急に「教科書観」を転換する必要があろう。(2010年3月31日付,日本経済新聞,編集委員 横山晋一郎 氏)引用元の記事

「教科書を教えるのではなく,教科書で教える」という点は,重要ですね。
毎年,学生には「教科書は辞書であり,参考書である」とも伝えています。あくまで,教科書の内容を網羅するのではなく,教科書をファーストステップとして学習を拡げる,理解を深めることが大切だと思います。
記事の中にもあるように,学生も教員も保護者も「教科書の内容を網羅したから安心」という感覚は捨てて,「教科書を使って何を学んだか,どのような学びを提供できたか」と省察を深めることができれば,実りの多い学習になっていくだろうと思います。

当然,大学だけではなく,小中学校,高等学校の教科書についても同様だと思います。

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