2008年3月24日月曜日

教科書(講義のテキスト)の使い方

 今年度も,後期日程の合格発表が終わり,卒業式・終了式を残すのみとなりました。新年度が近づき,授業の準備を始めようとしている今,大学の講義で使う教科書について最近思うところがあり,久しぶりにコラムを書きます。


 さて,皆さんは,本や雑誌(マンガ含む)を,月にいくらくらい買いますか?


 2008年3月23日の日本経済新聞のコラム(当世ふところ事情)に,全国618人の成人男女に質問した結果が報告されていました。その結果を見ると,「1000円未満」42%,「1000円以上3000円未満」28%,「買わない」19%,「3000円以上5000円未満」6%,「5000円以上1万円未満」4%,「1万円以上」1%だそうです。


 これを見ると,月に3000円未満しか使わないという人が,全体の約9割を占めていて,日経新聞も「活字離れの状況がうかがえる,節約のために図書館等を利用して自分で買わない人が多い」と考察しています。


 ちなみに,私(カーリー)は,専門書(学術雑誌)・新書・雑誌・マンガなどをあわせると約5万円くらい買っている計算になります :-) 日経新聞の調査でいうと少数派になりますが,この金額が高いとは思いません。むしろ,大学教員でいうと平均的な金額だと思いますし,後で授業などのアウトプットに活用できることを考えると,費用対効果は高いと思います。


 ただし,私が購入する本は専門書が多いこともありますが,購入した本を最初から最後まで読むことはほとんどありません。1冊の本の中で,知りたい情報は1〜2割程度ですから,必要な情報を得るための「辞書」として使っています。「それならば図書館で探せばよいのでは?」という意見もあるかもしれませんが,図書館の本では線を引いたり折り目をつけたりできませんし,自分も本に原稿を書いている人間として,著者に敬意を示すという意味でも購入しています。


 学部で学生にアンケートを行った結果をみると,「教科書に指定されていたのに使われなかった」という意見が出てきます。しかし,学生には使わなかったように見えても,多くの教員は授業の中で教科書を使っています(あくまで多くの場合ですが)。大学の授業では,講義資料としてプリントが配布されますが,そのプリントの内容は,(著作権を侵害しない範囲で)教科書指定されたテキストや多くの参考文献をもとに作成されています。ただし,大学では,高校までの授業とは異なり,教科書を逐一確認していくような授業は多くありません。教科書の中でさらに中心的なトピックを授業で取り扱い,関連情報を参考文献や配付資料等で広げることで,知識の構造化を図る授業が多いかと思います。その場合,「教科書」を「辞書・辞典」,学生が自習するための「リソース」として利用します。


 先の意見が出るというのは,高等教育機関において教科書・参考文献をどのように利用すればよいかという,教科書の利用方法を,学生が知らないことが一因かと思います。もっとも,それを伝えられていない教員の責任もあるかもしれません。新年度を迎えるにあたり,学生への教育的指導の一環として,こうした教科書の利用方法についても伝えていく必要があるかなと感じています。

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